三日月(@trickwolves)です。
突然ですが、フクロモモンガという動物をご存知でしょうか。
フクロモモンガはフクロモモンガ科フクロモモンガ属の有袋類、ざっくりというとカンガルーやコアラの仲間のほ乳類・小動物です。
ここ数年顔やしぐさの可愛さからフクロモモンガを飼う人が増え、フードやアイテムが充実してきているそうです。
海外では比較的メジャーなペットらしいのですが、元飼育員でフクロモモンガにもちょっとだけ携わっていた私個人としては、フクロモモンガはペットに向かない動物だと思っています。
当記事ではフクロモモンガを飼ってみたい、飼おうとしている方に絶対知っておいて欲しい、超現実的な問題をお伝えしていきたいと思います。
なぜフクロモモンガがペットに向かないと考えるのか
フクロモモンガは家で飼うものではないと思っています。
なぜなら本当に本当に、心の底から彼らが臭いからです。
臭いは実際に飼ってから気づくのではあまりにも遅過ぎる問題である、と私は考えています。
フクロモモンガその可愛い見た目からは想像もつきませんが、とてもとても臭いが強い動物です。もちろんオシッコやウンチも臭いのですが、フクロモモンガ自体がなんともいえない臭いがします。
アンモニア臭と得も言われぬ臭いが混じりあったフクロモモンガ臭…ぶっちゃけかなりキツイものがあります。
私は仕事で携わるだけだったから良かったものの、家でフクロモモンガを飼ってあの臭いを四六時中かぐ考えると…正直結構厳しいです。
本人は徐々に慣れていくかもしれませんが、お客さんも結構にしんどい思いをするのではないかと思います。
なぜフクロモモンガは臭いのか
まずフクロモモンガはトイレのしつけをすることができません。
しつけができないのでフクロモモンガたちは思うまま、あちこちでオシッコやウンチをします。そのオシッコやウンチが非常に匂うため、こまめに掃除をしないとかなりの刺激臭がします。
食べ物によってもある程度排泄物や体臭が変わるようですが、フクロモモンガのように動物(虫)を食べる動物の排泄物は基本的に臭いがきついものです。
またフクロモモンガはオスメス問わず臭腺があり、体の成長に伴って体臭がきつくなっていきます。日頃はそれほど臭いが気にならない個体であっても、発情期になる猛烈に臭います。
オスの場合は去勢をすればある程度体臭は治まるようですが、去勢の技術もイヌやネコ程発達していないため手術することによるリスクも大きいと考えられます。
※メスの避妊手術ができるかどうか調べましたが、情報にいきあたりませんでした…もしご存知の方がいらっしゃいましたら教えてもらえると嬉しいです。
※どうやら臭腺除去という手段もあるようですが、詳細はわかりませんでした。
他にもフクロモモンガがペットに向かないと思う理由
フクロモモンガは野生では樹上で暮らしている動物である、ということです。
非常に身軽であり、壁や天井や家具に簡単によじ登ってしまいます。そしてそこからグライダーのように滑空をします。つまり、うっかり窓を開けっぱなしにしていたらあっという間に外に逃げてしまいます。
フクロモモンガは逃げてしまったらまず自力では帰ってきません。そして寒さにも暑さにも弱いため、日本の気候にほぼ適応できないものと考えられます。ペットとして飼われていたフクロモモンガはカラスやネコなどの天敵から逃れる術も持たないでしょう。
つまり外に逃げてしまったら、彼らはすぐに死んでしまう可能性が高いと思われます。
そんな簡単にペットを逃がさないよ~と思うかもしれませんが、毎日一緒に過ごしていると気づかないところで油断が生じるものです。
試しにツイッターやフェイスブックなどでセキセイインコやオカメインコなど、ペットの鳥をうっかり逃がしてしまった方の投稿を探してみてください。余りにも数が多くてびっくりするのではないでしょうか。
フクロモモンガを飼うには並々ならぬ覚悟が必要
フクロモモンガは非常に可愛らしい動物です。
まん丸でくりっとした大きな目はもちろん、前足で物をもって食べる姿はとってもキュートです。しかし、だからといってすぐにペットにするのは止めた方が良いと断言します。
本当に臭いですよ、愛情でごまかせるレベルを超えるほどの臭いです。
本当にフクロモモンガを飼う必要はありますか?
フクロモモンガに限らず、ペットを飼うことは楽しいことばかりではありません。思い通りにならずにイライラすることや悲しいこともたくさんあります。
お金も時間も驚くほどたくさん必要です。
誰かがSNSやブログにアップする写真や動画だけでは、動物図鑑を見るだけでは満足できないでしょうか。
本当にフクロモモンガを飼う覚悟はありますか?
フクロモモンガの寿命は小動物にしては長く、最長で10年程度とされています。
可愛いフクロモモンガのため、毎日、1年356日こまめに掃除することができますか?
万一彼らが病気になった時に治療費を支払う覚悟と蓄えはあるでしょうか。一度動物病院にかかれば1回に数万円飛ぶこともありますし、複数回病院に通うことになれば月に10万円以上の治療費がかかることもあります。
ただ可愛いから、SNS映えするから、珍しいペットだと自慢できるからお迎えすると後々自分もフクロモモンガも、みんな不幸になってしまうかもしれません。
自分のためにもフクロモモンガのためにも、本当に10年添い遂げる覚悟と準備があるのかよくよく考えてみてください。
それでも飼いたい人はその気持ちを大切に持ち続けて欲しい
辛辣な言葉ばかり並べましたが、それでもフクロモモンガを飼いたいという意思が変わらない方は自宅にお迎えしてあげて下さい。
そしてたくさん愛情を注いで思い切り可愛がり、フクロモモンガの最後の時までしっかりと添い遂げてあげてください。
可愛い!飼いたい!そんな一時の感情だけで不幸になる人も動物も増えませんように、そして少しずつでも減っていきますように。動物に携わってきたものとして、心の底からそう願っています。