動物ライターなどと名乗っているフリーランスのWebライター、三日月(@trickwolves)です。
Xではたまに泣き言をこぼしていたのですが、実は数年前に祖母が認知症を発症し、時折ですがその介護を手伝っています。しかし一昨年あたりから祖母の症状は悪化の一途を辿っており、介護や日々変わっていく祖母に対して思うことも増えています。
とはいえ、恐らくそう長く続くことでもないだろうこと、必ず来る「いつか」を迎えた時に記しておいた記録を見返せば、自分が多少なりともいやされる可能性があること。
そして同じような状況に陥った、あるいはこの先陥る方のお役に立てるかもしれないことから、今の気持ちをここにつらつらと記録しておきます。
超絶パワフル&エネルギッシュだった祖母
私の母方の祖母は少々、いや大分口はきついけれど、とてつもなくパワフルでエネルギッシュな人でした。そして私はそんな祖母のことが大好きで、尊敬していました。
祖母は病気がちで体の弱い祖父を支えつつ、残業早出をしながらフルタイムで働いて5人の子どもを育て上げ、二階建てのマイホームを建て、定年退職した後に資格を取ってヘルパーとして働き、自転車をかっ飛ばしてどこにでも行ってしまうような人でした。
これだけでもすげえな…と感じる人も多そうですが、パワフルだったことを証明するエピソードはこれだけではありません。私が高校生だった頃に祖母と自転車で並走していたら、なんてことないような顔をしながら、私よりスピードを出して遥か先に行かれてしまったこともあります。
祖母はそんなバイタリティーにあふれた…いや、あふれまくった人だったのです。
頭を打ち認知症を発症→悪化の一途を辿る
そんな祖母は長らく一人暮らしをしていましたが、数年前にご近所さん宅前で転倒して頭を強く打ち、そのまま昏睡状態になってしまいました。しばらくの間昏睡状態でしたが、目を覚ました祖母はなぜか、特に孫である私に対して非常に攻撃的な性格になっていました。
あまりにも当たりがきついことから、その後数日で祖母宅から撤退。以降は離れて暮らしつつ、必要な時に呼ばれて駆けつける形でのサポートを続けてきました。
退院後の祖母は年齢のせいか目や足が悪くなり、手術のため何度か入院をしました。そして入院の影響なのか加齢の影響なのか不明ですが、日に日に認知症の症状が悪化していったのです。
最初は普通に会話ができて家の中を歩き回ることもできましたが(危ないので自転車と火の使用は禁止していた)、発症から数年経過した今では、一人で生活することすらままならなくなってしまいました。
見る影もなくなってしまった祖母
症状の悪化と共に、まともに会話ができる時とできない時があるほか、常に眠たげで何かとすぐに布団に行こうとするようになり、全く運動しないことから一度驚くほど太ってしまいました。
さらにオムツを履いていても洋服やシーツを汚したり、風呂に拭ききれていない排泄物が浮いていたり、介護する叔母や施設の職員さんに噛みついたりすることもあるそうで。私が好きだった祖母は、一体どこへ行ってしまったのだろうか…と思うほどの状態になってしまっています。
そんな中で私は病院の送り迎えをする、買い物を手伝う、夕食を作りに行くといったサポートをしていました。しかしある時からお風呂から立ち上がれなくなって引っ張り上げる、介護施設から帰る車に乗りたくないと座り込んでしまって慌てて迎えに行くといった、急ぎで対応しなければならない事例も増えていきました。
とても悲しいことですが、祖父と5人の子どもを支えるために必死に働き、マイホームを建て、定年退職後もヘルパーとして多くの人を支え助けてきた。そんな立派でパワフルで、たくさんの人を助けて来た、私が誇らしく思っていた祖母はもうどこにもいなくなってしまったのです。
忘れられるのは時間の問題なのかも
今でも祖母はそこにいるはずなのに、この人は自分がよく知っている祖母のはずなのに。祖母の人格はどんどん薄らいで、日を追うごとに年を追うごとに、知っているはずなのに知らない人になっていく。
さてさて、今の祖母は私の知る祖母なのでしょうか。私が大好きだった言葉はきつくともパワフルな祖母は、一体どこへ行ってしまったのでしょうか。
なぜこれほど頑張ってきた人が段々と人間としての尊厳を、在り方を失っていって、人間らしく生きることもままならなくなってしまうのか。そう考えると、正直この世の中には神様も仏様もいないよなぁ…と虚しくなります。
実は数年前に亡くなった父方の祖母も、長らく認知症を患っていました。途中からキレイさっぱり名前も顔も忘れられてしまい、面と向かって「誰?」と言われた時は本当に悲しくて、本人の前でしゃくりあげて話せなくなるほど号泣してしまいました。
幸いなことに、母方の祖母はまだ私の名前や顔を忘れてはいないようです。しかし「その時」が来るのも時間の問題だろうと思う状態なので、覚悟を決めておかなければなりません。
流石にその時のことを考えるとしんどいです、忘れられたくないです。しかしそれでも、今だからまだできることはあるはず。全く後悔しないことは無理だろうけど、それでも後悔が少しでも減るように、心身とも無理のない範囲で手伝っていけたらと思っています。
身内の認知症は本当にしんどい
ということで、認知症になってしまった祖母の状況や、私の心境などをつらつらと書き連ねてみました。
身近に認知症の人がいる方には「わかる」「私だけじゃないんだ」と思ってもらえたら、まだ認知症にあまり触れたことがない方には「認知症ってこんな例もあるんだ」と思ってもらえたらうれしいな、と思っています。
認知症は完治することもなく、発症した人がやがてあらゆることを忘れてしまう恐ろしい病気です。いずれ完全に予防する薬や治療する薬ができてほしいと心から願いつつ、今はとにかく、やれることをやっていこうと思います。