三日月(@trickwolves)です。
2018年10月31日をもって、1年勤務した地方の動物園を退職しました。4月に転職活動をスタートするという記事を書きその後転職活動を続けていましたが、転職せずに一度自分で仕事をやってみることにしました。
今回の記事では、動物園飼育員をやめた時のことを記しておきたいと思います。
飼育員を目指し、夢破れ、夢は叶いましたが…
私にとって「動物園の飼育員」は中学生の時からずっと夢に見ていた職でした。
飼育員になりたいがために東京農業大学へ進学して動物について学び、飼育員を目指すための繋ぎの職業として養豚業へ就きました。そしてその後は全く異業種の営業の仕事をしつつも、働きながら動物園の試験を受け続けていました。
それでも現実は厳しく、試験にはなかなか受かりませんでした。年齢や将来の事を考えて25歳くらいの時に飼育員の夢は完全に諦めたつもりだったのですが、人生何があるかわかりません。なぜかうっかり30歳を超えてから、飼育員になりたいという夢を叶えることが出来ました。
飼育員を辞めた理由は「お給料が安すぎるから」
私が飼育員をやめた理由、それは…
あまりにもお給料が安いから。
これに尽きました。
人間である以上、生きていくためにはある程度のお金が必要です。
私がこの1年で最も身に染みたのは現実はお金>>>(超えられない壁)>>>夢という現実でした。
人間はお金がなければご飯が食べられません、服が着られません、家を借りられません、水道電気が使えません、スマホを持てません、趣味を持てません、行きたいところに行けません、会いたい人に会えません、恋人を作って結婚することも出来ません。
あまりにもお金がないこの1年を経験して、少子高齢化も晩婚もおひとり様が増えているのも何もかも、若者がお金を持っていないからなんだということが身に沁みました。お金がないと心に余裕なんて持てません。
動物園飼育員(臨時職員)の給料明細を公開します
お金がない、お給料が安い…と文字で説明されてもピンとこない方もいらっしゃることでしょう。ということで実際に”現実”を目にして頂ければと思います。
月に21日勤務、1日フルタイム(7時間45分)勤務でこの給与です。
しかもこの月は時間外手当に該当する時間(残業もしくは休日出勤分)が11時間分あった上でこの給与です。基本的に時間外勤務が良しとされない職場でしたので、この給与はそれでもマシな方なお給料ということです。
臨時とはいえ一応市の職員、フルタイムで動物たちの命を預かり園内の花形を支える立場の人間の給与がこれです。
私は正直、寝言は寝てから言って欲しいと思っていました。過去同じ立場で働いていた人たちも、私たちもあまりにも安くて生活が苦しいと何度も訴えました。それでも市の正規職員から返ってくるのは「申し訳ないけれど待遇はどうにもならない」という言葉だけでした。
やりがい搾取が許される世界なんてあってはならない
私を含め、他の職員もこの給与でメイン業務である動物を世話を行っていました。
なんとも恐ろしいことに、月12万円の手取りで働く私たちが世話をする動物の中には絶滅が危ぶまれる、絶滅危惧種の動物も含まれていました。
動物の世話だけではなく平行して飼育設備の修繕を行い、接客をして、イベントを企画運営し、他の部署の仕事であるはずの園内の清掃や整備に駆り出されていました。
あれをやれこれをやれとどんどんやることを増やし、動物の種類や数も増やし仕事のハードルを上げる…のは一向に構わないのですが、それであれば雇う側は労働者に対して賃金を上げなければ不平等ではないでしょうか。
雇う側は一切賃上げをしないと宣言しているにもかかわらず、労働者の仕事の内容だけ増えていくのはおかしくないでしょうか。
やりたい仕事をやれていたのだから文句を言うな、と考える人もいるかもしれません。ですが私はやりたい仕事でもやりたくない仕事でも、労働者がきちんと働いている以上相応の報酬を与えるべきだと思います。
全国の雇用主に言いたい。
給料がまともに払えないなんてそんな企業終わってる。いっそ無くなってしまえば良い。
薄給はストレスになることを知る
そんな環境に身を置いていたところ、半年程経過した頃にはやる気やモチベーションがほぼ一切無くなってしまいました。そしてただ惰性で仕事をしているだけ、という状況に陥ってしまいました。
”適当に仕事をして適当にお金を貰えれば良いや”という考えで働ければ良かったのですが、私は仕事を適当にやることが嫌いで、成果を出したらきちんと評価されたいという気持ちが非常に強いタイプです。
そのためいつしか仕事の内容うんぬんよりも、「この職場・環境で仕事をしていること」自体が大きな苦痛になってしまいました。そして好きなことを仕事にしているのに、ただ毎日が辛い…という矛盾した環境で過ごすうち、膨大なストレスを感じるようにもなってしまいました。
仕事がある日はあまりにも「仕事に行きたくない」という気持ちが強すぎたのか、毎朝8時になるとお腹を下してしまい、5分以上トイレに籠ってから出勤していました。背中がつってしまって呼吸がしづらくなり、痛みに悶える日もありました。
そして9月に仕事を辞めることを決心し、10月末で退職という形をとりました。
「給料が安いこと」は仕事を辞める理由になると知る
本日で退職して、約1週間。
役所での手続きをやったり色々調べたりしつつも、思いっきり遊んで寝て食べて随分と身も心もすっきりしました。
今回の件でいくら頑張っても安い給料しかもらえない…という環境で苦しんでいるよりは、いっそ思い切って退職して次を探した方がよっぽどストレスが少ないということを知りました。そして業種に関わらず、「給料が安い」という理由で仕事をやめるのも大アリだなと思いました。
こんな記事を書いておいてなんですが、飼育員自体はとても楽しく、やりがいのある仕事であることは間違いありません。どうしても飼育員になりたい!という方は、こちらの記事も見て貰えたら嬉しいです。何かの参考になるかもしれません。