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元飼育員が語る:コツメカワウソをペットにしないで・飼わないで欲しい理由4選

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三日月です。

先日5月25日は「World Otter Day(世界カワウソの日)」でした。

この記念日は、カワウソ類の啓発や保全に関する意識を世界中の人々に高めてもらおうと、International Otter Survival Fund(国際カワウソ生存基金)により提唱されたもので、毎年5月の最終水曜日とされています。
引用元:WWF

このところ週に5日を目標に動物や飼育員に関するツイートを投稿しているのですが、25日には以下のようなツイートを投稿しました。

長い!!笑

コツメカワウソは普通の人が飼いきれる動物ではない

つらつらと長いツイートをしましたが、私が1人でも多くの人に伝えたいのは「コツメカワウソは普通の人が飼いきれる動物ではない」ということです。

ツイートの中でも触れましたが、私にはコツメカワウソを飼っている知り合いがいました。実際に飼う前に「コツメカワウソを飼いたい」と相談された時、私は元飼育員として、動物の勉強をして動物に携わってきた人間として傷つけない程度に辞めた方が良い、と伝えていましたがその人を止めることはできませんでした。

それではなぜ、私はコツメカワウソを飼うべきではないと考えているのか、詳しくお話ししていきます。

コツメカワウソを飼うべきでない理由1.とにかく臭いがキツイ

コツメカワウソはイヌやネコと同じく、いわゆる「臭腺」といわれる器官を持っています。そして排泄をする時にフンや尿にから出る分泌物を加えるため、その排泄物からはものすごーく強烈な臭いがします。

その臭いたるや、もともと養豚場や動物園で働いていた私ですら素直に「臭い」というレベルです。

カワウソは体の大きさの割に燃費が悪く、たくさん食べてたくさん出す動物です。そのためトイレの処理をしてもすぐに排泄することもあり、カワウソを飼えばこの臭いの問題と1日、1カ月、1年、そしてカワウソの寿命である10年もの間付き合っていく事になります。

正直ずっと一緒にいれば慣れるでしょうが…10年間くっさーい排泄物と付き合い続ける自信がある人でないとコツメカワウソは飼えないと思った方が良いでしょう。

余程上手く対策をしない限り家に臭いが染みついてしまうので、理解ある人でないと自宅に呼べなくなってしまう可能性もあります。

コツメカワウソを飼うべきでない理由2.鳴き声がうるさい


コツメカワウソは小鳥のような「ピィ、ピィ」といった甲高い声で鳴きます。

コツメカワウソは本来群れで暮らす動物であり、鳴き声によってコミュニケーションを取っていると言われています。この鳴き声はたまに聞く分にはかわいいのですが……昼夜問わず聞こえてくる、この甲高い声を毎日聞き続けたらどうなるでしょうか?

そう、恐らく多くの人が鳴き声による強いストレスを感じることでしょう。完全に音がシャットアウトできる防音室のようなものがあれば解決するかもしれませんが、それはそれでコツメカワウソの様子がわからなくなるため別の問題が生じる可能性があります。

コツメカワウソを飼うべきでない理由3.生態が詳しくわかっていない

コツメカワウソは多くの動物園や水族館で飼育されている動物ですが、今でもその生態はよくわかっていません。

イヌやネコは1日に必要とする栄養素やカロリーの多くが明らかになっていて、市販のドッグフードやキャットフードと水だけで必要とする栄養素を満たすことができるようになっています。

ではコツメカワウソはどうでしょうか。

あくまで私個人の話ですが、コツメカワウソが必要とする栄養素やカロリーについて、明らかにしている資料を見たことがありません。ペットとして飼育されているコツメカワウソは白身魚やキャットフードを主食にしているようですが、野生のコツメカワウソは魚だけでなく甲殻類や両生類、貝などありとあらゆる動物を食べています。

果たしてネコ用に作られたキャットフードだけで、コツメカワウソが必要とする栄養素を満たせるのでしょうか。1種類や2種類だけの魚だけで、寿命を全うさせることができるのでしょうか。

このような目線から考えてみると、その生態が詳しくわかっていない動物を飼うことはなかなか無謀なことではないだろうか……と思うのは私だけでしょうか。

コツメカワウソを飼うべきでない理由4.適切な診察・診療ができる動物病院が(ほぼ)ない

私がコツメカワウソを飼うことをすすめない最大の理由、それが「適切な診察・診療ができる動物病院がないこと」です。

日本国内に動物病院は数多く存在していますが、そのほとんどがイヌとネコのみを診察・診療の対象としています。近年のペットブームでハムスターやウサギ、セキセイインコやフェレットなどを飼育する人も少なくありませんが、実はこれらのややメジャーなペットですら診察・診療できない(しない)動物病院が多いのです。本当かよ?と思った方はぜひ、近所の動物病院のホームページなどを見てみてください。

それではこの状況を元に、コツメカワウソについて考えてみましょう。

コツメカワウソが病気になった時、ケガをした時、診てくれる動物病院はあるでしょうか?

残念なことですが、多くの動物病院で診察を断られることでしょう。もし診察をしてもらえたとしても、コツメカワウソの治療を行った事があり、適切な治療ができる獣医師はほぼいないものと考えておいた方が良いでしょう。

動物園や水族館であればそれまでの飼育・治療の履歴、もしくは他の園館から情報提供を受けて治療に取り組むことができます。それでもコツメカワウソのような野生動物はギリギリまで弱みを見せないため、治療の甲斐なく亡くなってしまうことも多いのです。

動物を擬人化することは好きではありませんが、現在日本においてコツメカワウソが置かれている状況を人間に置き換えてみると、彼らはろくな病院もない環境の中で暮らしていることになります。

彼らが病気になった時、ケガをした時。まともな治療が受けられない環境においてまで、コツメカワウソを飼う必要はあるのでしょうか。

コツメカワウソを飼うべきでない理由のまとめ

コツメカワウソを飼いたいと考えている方がもしこの記事を見ていたら、ぜひ一度1~4についてよく考えてみてください。それでもどうしても飼いたい!自分なら絶対100億パーセント飼いきれる!という自信があるのならば、私から言うことは何もありません。

コツメカワウソは確かに愛らしい動物です。しかしコツメカワウソに限らず(イヌでもネコでもハムスターでもカメでも、どんな動物であっても)、「かわいい」「飼いたい」「欲しい」だけで動物を飼うと動物自身はもちろん、飼い主も不幸にしてしまう可能性があることをぜひ知ってください。

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三日月
静岡県在住のフリーライター。サプリメントや動物、オタク業界に強いアラサー♀。お仕事の依頼や問い合わせはお問い合わせフォームからお願いします。
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