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ひよっこ飼育員が思う、平川動物公園のホワイトタイガー事故の件について

こんばんは、三日月(@trickwolves)です。

先日平川動物公園で飼育員の方がホワイトタイガーに殺されてしまうという痛ましい事故がありました。

ひよっこ飼育員として、こういった事故が起こりうる飼育現場のことをお話ししてみます。




本来猛獣と人は絶対接しないようになっている

私は現在地方の猛獣なんていない小さな小さな動物園の飼育員として働いています。

そんな私ですが、大学生の時に行った動物園実習ではトラとライオン・ゴリラに携わらせて頂きました。そう、本来の猛獣舎は担当者がいる状態できちんと手順が守られているならば学生が実習に入ることができるくらい安全性が担保されているものです。

人を殺せるくらいの危険な動物(以下猛獣)を飼育する場合、正しい手順を踏めば飼育員と猛獣は絶対に同じ空間に入らず接触しないようになっています。

まず外の放飼場(展示場)と寝室の間にはいくつかの扉があり、その扉は金属製で猛獣でも破壊できないくらいの頑丈なつくりになっています。

そして猛獣を寝室から展示場に動物を出す際は寝室の扉をあけて一度閉め、その後展示場の扉を開けて閉めると言う手順になっているはずです。展示場から猛獣を寝室に戻す際は逆に展示場の扉をあけて閉め、寝室の扉を開けて閉めます。

そして猛獣が展示場もしくは寝室に確実に入っていることとそれぞれの扉が施錠されていることを確認の上、寝室もしくは展示場に入って掃除をすれば猛獣と飼育員が同じ空間に入ってしまうはずはないのです。

図解はこちらのニュース記事をご覧頂けるとわかりやすいかと思います。

ちょっとしたことが命の危険に繋がるのが飼育員の仕事

今回の件は恐らく何かしらの手順を誤って飼育員の方とホワイトタイガーと同じ空間に入ってしまったことが事故の原因と思われます。一番考えうるのはトラの場所を確認せず、トラがいることを把握しない状況で同じ空間に入ってしまったことであると思います。

亡くなった方は猛獣飼育のベテランの方だったそうです。とすればおそらく慣れとそれに伴う油断もあったのでしょう、疲れや気が散るようなことがあったのかもしれません、もしかしたら就業後に用事があって早く仕事を終わらせなければならないと焦っていたのかもしれません。

本当に本当にちょっとしたことで操作を誤ってそれが死に直結してしまう、飼育員の仕事というのは楽しくやりがいがあるものながら常に死と隣り合わせのものなんですよね。

私の勤め先では肉食の大型獣はおらず、一番大きい動物が馬でかつ同じ空間に入ることが普通の動物たちばかりなので今回のような事故が起きる可能性は低いのですが、それでもやはり動物は人を殺す可能性を大いに持っているんだなと改めて思いました。

初歩的なことだけど致命的になる動物舎の施錠ミス

飼育員として一番恥ずべきことは動物を逃してしまうことです。

動物を逃がしてしまう原因となるのは獣舎の施錠ミス、獣舎の破損が主なものですが特に前者は人為的なミスであり防げるもの・防がねばならないものです。

飼育員として勤めはじめると「とにかく何が何でも施錠を確認すること」を口を酸っぱくして言われるのですが、人間というのは厄介な生き物でどれだけ意識していても注意していても時にうっかりをやらかしてしまうんですよね。

自分自身も大学で動物を学びそのあと養豚業、動物園と勤めてきましたが本当にたまにですがうっかり施錠を忘れてしまうことがありました。その忘れてしまった部分が2重扉の外側であったり逃げ出すような力の強い動物ではなかったため事なきを得ましたが、ともすれば動物を逃してしまうようなこともあり得ました。

施錠の確認は目で見て2度も3度も鍵を引っ張って、それでも仕事を上がる前にもう一度目視と引っ張りを行なってやっと安心するくらいの慎重さが求められます。

とはいえこのことを念頭に置いていても、どれだけベテランでも注意していてもうっかりは起こりうるんですよね。動物園でも一般企業のように重要な部分は担当者以外の人が二重チェックするような体制が必要なのではないでしょうか。

ちなみに…動物舎の鍵は南京錠が使われている事が多いです。こいつを何度も目視で確認して何度も引っ張って確認するのですがそれでもありうるうっかりが本当に本当に怖いです。就業後帰宅してから「あれ、ちゃんと施錠したよな…」とふと心配になることもあります。

おわりに

加害者とはいえそのホワイトタイガーがきちんと終身飼育されることを願っています。恐らく飼育員の方はトラを恨んではいないと思うのです、飼育員をやっている人は担当動物を文字通り目に入れても痛くないくらい愛している人がほとんどですから。

この痛ましい事故を教訓に事故の原因を突き止め、再発防止策に力を入れて頂けたらなと思います。今回の件も飼育員の方1人で作業をしていたとのことですので、猛獣の場合は必ず2人体制にするなど具体的に対策を進めてもらいたいです。

平川動物公園だけの問題ではなく、全国的にギリギリのスタッフでまわしている動物園も多いと思いますのでまずそこから改善して貰えたらいいな…と思います。切実に。

トラはどこの動物園でもよく目にする動物ですが猛獣であり、非常に力が強く野生下でも飼育下でも動物を殺してその肉を食べて生きる動物です。トラ自身は戯れているつもりの猫パンチレベルでもヒトにとっては致命的な一撃なりえる、そんな生き物であることを忘れてはならないと痛感する事故でした。

最後になりますが、亡くなられた職員の方のご冥福をお祈りします。同時に今後このような事故が無くなるよう切実に祈っています。

2018/11/11 加筆修正

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三日月
三日月
静岡県在住のフリーライター。サプリメントや動物、オタク業界に強いアラサー♀。お仕事の依頼や問い合わせはお問い合わせフォームからお願いします。

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